Simple and Worthy LIFE

シンプルライフ、時々贅沢。

美人、イケメンは生涯どれだけおトクなの?「美貌格差: 生まれつき不平等の経済学」書評

衝撃的なタイトルに惹かれてつい手に取ってしまいました。
 
「美貌格差: 生まれつき不平等の経済学」という、
美の経済学を20年以上研究してきた労働経済学の権威が、疑問に答える経済学書。
 
見た目に関する議論はある意味タブーとされていたものですが、
勇敢にもこの話題にメスをいれた衝撃の書籍。
 
美人やイケメンだと得するのは何となくイメージできるけれども、
その効果は実際どれだけなの?という疑問へのヒントを与えてくれます。
 
収入の格差の根拠を見た目の善し悪しであると主張しつつも、
副次的なファクターについても言及しています。
 

「美しくなりたい」努力の"残酷"な費用対効果

美容、身だしなみにかける費用は、その費用に値する程の効果を
与えてはくれない、という悲しい結果。
いい服を着て、いいスキンケアをして、ついでに可愛いネイル…
あなたは月にいくらかけていますか?
かのブロガーはあちゅうさんのブログでは
女性はおおよそ月に7万円かけていると主張していましたが、(計算の根拠が謎な部分はあるけれども)
それに見合うだけのメリットは享受できないとのことです。
#本書より抜粋#
上海で行われた調査によれば、美容に全くお金を使わない女性が平均的な額を美容に使うようになっても、その女性の美しさの評価は5段階評価で3.31から3.36点にしか上がらない。また平均的な額を美容に使う女性が、平均の5倍までお金をかけても、評価は3.56点にしか上がらない。
とのこと。
そうは分かっていてもついついオシャレな格好をしたいもの。
身だしなみにかけるお金は、
自分に自身と肯定感を与えてくれる、というようなメリット、
あとはある意味自己満足的なメリット、
周りよりも自分が少しでも上であるというマウンティング的な要素もあるので、
単に所得というメリットだけでは測れませんよね。
参考情報として理解しておきましょう。
 
結論:美容におカネを使っても、おカネは儲からない(笑)
 

女性よりも男性の方が見た目に対する所得は高い傾向に!?

本書では、ルックスによる生涯賃金格差は2700万円と主張しています。
美形とブサイクの収入の差は、男性17%、女性12%であるというデータから算出。
男性の場合、容姿が並みに満たない人は、並みの男性より13%収入が低く、容姿が並み以上の男性は、並みの男性より4%収入が高い、とのこと。
 

美形効果が女性の方が小さいのはなぜ?

 
何となく女性の方が見た目に対するメリットは大きそうなイメージですが、
意外と男性の方がメリットを享受している模様。
カギは、働いている割合。仕事に就いているか否か、もしくは仕事を探している成人女性の割合が女性が72%に対し、同じ年齢層のアメリカの男性では86%とのこと。
 

イケメンCEOの会社は業績が良い?

いちばん大きな会社といちばん小さな会社を比べると、
CEOの魅力は統計的に有意なほどの違いはなかった。
しかし、大企業のCEOのほうが容姿の評価が高い傾向があった。とのこと。
ちょっと検証不足感があり、証拠としてはまだまだ物足りないところ。
因果関係も謎のままのようです。
 
まぁ確かにコレくらいの結果では、
業績の良い会社のCEOは見た目を良くするためにお金を使ったり、
イメージコンサルタントなるものを雇ったりしている成果とも考えられますよね。
 
万人が気になる「見た目」というトピックを
経済学に結びつけて検証するという着眼点は面白く、書籍を手に取るだけの魅力はありますが、
検証結果の正当性については少々疑問点が多く、
推論的な部分が多いと感じました。
 
なので個人的には本屋でぱらぱらっとめくって楽しむ程度でいいかな、と思います。